J-1ビザ(交流訪問者ビザ)
Jビザとは
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Jビザはアメリカの文化、科学、学術、技術等をアメリカ外に広めることを目的としたビザであり、アメリカで得たものを自分の国に持ち帰って活かすことが申請条件となります。そのため研修プログラムのことをExchange Program、研修生をExchange Visitorとも呼びます。またJビザのカテゴリーには学術研究から医学研修、オーペア、キャンプカウンセラー、公務訪問、学術交流、企業実務訓練、学生交換訪問、ボランティア活動参加まで、幅広くあります。日本企業の社員が活用するケースとしてはアメリカ現地法人での業務研修や、研究者が大学や研究所で研究するためなどがあります。
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Jビザのプログラムの期間はそのカテゴリーによって異なります。例えば研究職の多くが属するResearch Scholar、Professorは、Federally Funded National Research、Development Center、U.S. Federal Laboratoryが直接のスポンサーでない限り最長5年です。また業務研修を行うTraineeは最長18か月(ただしHotel/Hospitality and Tourism Industryは12か月)、Internshipの場合は最長12か月です。ただしInternshipは研修生が大学卒業12か月以内に限ります。
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JビザはまずDS-2019という研修許可証を入手してから大使館、領事館でビザの申請をします。大企業や大学、病院などが研修先の場合、研修先がスポンサー団体として国務省から認可を受け、独自の研修プログラムを持っていることがあります。その場合はその研修先がDS-2019を発行します。一方日本企業で研修する場合などは通常アンブレラスポンサーと呼ばれるスポンサー団体が研修プログラムを審査し、DS-2019を発行します。スポンサー団体はTraineeのカテゴリーだけでも94団体 あります。
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Jビザは同じ研修が認められているH-3ビザやB-1 in lieu of Hビザと異なりOJTが認められているため、実務経験を積ませることができます。企業が業務研修にJビザを選ぶのはこのためです。特にEビザやLビザのように十分な就労経験は問われないため、若い社員をアメリカに派遣する際に就労ビザの代わりに取得するケースは少なくありません。そのため研修内容が本当にアメリカでのOJTが不可欠なものなのか、単に研修者という肩書きだけで実質的には就労ではないかが厳しく審査されます。
Jビザの申請条件
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研究目的の研修の場合大学等の公の機関の発行するDS-2019であれば、まずビザ申請も問題はありません。
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業務研修などアンブレラスポンサーを必要とする場合、国務省の定めた基本的な基準はあるものの実務的なレベルではその厳しさはアンブレラスポンサーによって異なります。
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研修の受け入れ先が以下の業種の場合、研修が認められない可能性があります。
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Health Professions and related Clinical Sciences
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Schools: pre-schools, daycare/childcare centers, primary or secondary schools
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Fast Food restaurants, cafeterias, gas stations, convenience stores, and truck stops
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Theme park operations
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Counter service positions. e.g. coffee shops, cafeterias, retail shops, and similar
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Staffing/Recruitment agencies
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Fashion Merchandising position in retail shops
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Beauty supply & Wig stores, Hair & Nail Salons, Pet Salons and similar
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Kiosks in malls, airports, or in other public areas
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Religious institutions (Churches, Mosques, Synagogues, Temples)
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Establishments where the primary business activity is alcohol or tobacco retail sales
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Placements associated with Firearms
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Companies whose primary business activity is in the sale of intimate apparel or other adult oriented products or services
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OJTを行う上でコピーやデータ入力などのサポート業務を研修生に割り当てる場合は、全体の20%を越えてはいけません 。
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研修の受け入れ先には資本関係などの条件は特にありません。ただし小さな組織に複数名の研修生の受け入れは、研修生のサポートが十分にできないと判断される可能性があります。研修受け入れ先の人数は5人以上で、部門の正社員と研修生の人数の比は5対1以上が望ましいと言われています。また社員も3人以上がアメリカ人、英語による研修が行える環境であることなどを条件とするアンブレラスポンサーもあります。
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研修受け入れ先は労災補償保険(Worker’s Compensation)に加入していることが求められます。ただし州によっては加入が免除されていることがあります。その場合は加入不要です。またアンブレラスポンサーによっては、申請者も労災補償保険に入ることが求められます。
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業務研修は高卒以上で研修内容に関連する業務経験が5年以上あることが求められます。大卒以上で、大学での専攻内容と研修内容がマッチしている場合、必要とされる研修内容に関連する業務経験は1年となります。大学の専攻内容は学部名ではなく取得した単位など、実質的にその領域の高等教育を受けたことがあるかが問題となり、その判断はアンブレラスポンサーが行います。ただしアメリカ以外の大学に限られ、アメリカの大学しか卒業資格がない場合はアメリカ国外での研修内容に関連する5年間の業務経験が必要となります。
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アメリカ以外の全日制の専門学校、短期大学、大学、大学院に在学中で最低1年以上在籍しているか、または卒業から1年内の場合、大学の専攻内容と研修内容が関連していればInternshipを利用して業務研修を行うことになります。
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業務経験が豊富な場合、業務研修は不要と判断されることもあります。研修内容にもよりますが40歳までであれば申請可能です。
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その他の重要な条件として、英語力も大きなポイントとなります。アンブレラスポンサーの示す基準がTOEIC700点以上、というところもあります。以前は語学学校の先生の評価や、研修先のスーパーバイザーの評価で代替可能な場合もあり、審査上はそれほど高い英語力を条件としていませんでした。英語でのインタビューを実施しているアンブレラスポンサーもありますが基本的なコミュニケーション能力のチェックだけのところが多かったようです。しかしながら最近は英語力、特に電話インタビューでコミュニケーション能力が不足によりスポンサー団体の審査を通らないことがあります。
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研修生のサラリーは1人につき2,000ドル/月以上でなければなりません。上限はありません。
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DS-2019が入手できればビザはいつでも申請できます。また新学期が始まる前など面接予約が取りにくい時期は、DS-2019入手前に面接予約を受けることが認められます。ただしオリジナルのDS-2019が入手できるまでビザは発行されません。
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Jビザの申請条件についてはJビザプリチェック必要情報をご覧ください。
研修プログラムについて
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業務研修の場合はまずその研修内容が本当に米国でのOJTが不可欠なものなのか、単に研修者という肩書きだけで、実質的には就労ではないか、が厳しく審査されます。ライセンスを受けたソフトウェアについて開発元の米国企業で研修を行うケースや、法務部の社員を米国の法律事務所で研修を行うケースであれば、比較的OJTを含む研修の必要性も審査を行う領事に理解されやすくなります。一方単に米国での業務経験を積ませるためであれば、Jビザではなく就労ビザを取得するように、と判断される可能性が高くなります。
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業務研修のTraineeの研修期間は最長18か月ですが、1つのフェーズが長いと就労と疑われることが多いため、グリーンフィールドでは1フェーズ3か月までとしています。
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最近オペレーションでのOJTが就労とみなされ、ビザ申請が拒否されるケースが増えています。内容はTrainingであっても、その業務に従事するためのものとみなされるためです。まずアメリカでしか習得できないことであり、なおかつOJTを通して体感してはじめてその本質が理解でき、そこで学んだことを日本に持ち帰り業務に活かす、そのためのTraininngである、そういう書き方が必要です。
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Jビザの研修プログラムについてはJビザプリチェック必要情報をご覧ください。
Jビザから就労ビザへのステータス変更
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Jビザで研修後すぐに駐在員としてアメリカに派遣を希望するケースもよくあります。Jビザの本来の目的を考えるとアメリカで習得したものを日本でフィードバックするための期間はある程度必要なはずです。そのためグリーンフィールドでは半年程度は日本に滞在してからアメリカに派遣することをお勧めしております。
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アメリカ国内でのステータス変更に関しては認めないアンブレラスポンサーもあります。しかしながら研修プログラム終了直後に就労ビザの取得ができないわけではありません。