就労と商用について
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一般的に商用に含まれるのは取引先との商談や、販売、ボランティア、修理技術の提供、会議出席、講演活動、研究者としての活動、医学研修やセミナーへの出席、投資の準備など
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実際は必ずしも就労と商用を明確に区別できるわけではありません。
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現地法人のスタッフがすべきオペレーションを日本からの出張者が行えば就労とみなされる可能性が高い。例えば顧客を訪問し、見積書などを作成すれば、それは現地法人の営業スタッフの行うオペレーション業務であり、就労の可能性がある。
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同じ営業活動でも日本本社からの営業支援として現地のスタッフと一緒に回れば、商用とみなされる可能性が高い。
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本社の事業部長が現地法人のトップを兼務しているような場合、それが現地法人のトップとしての活動なのか、本社の担当部門の責任者として活動なのか、必ずしも明確ではない。年に数回出張で現地のオペレーションを任せるマネージャーなどとのミーティングが中心なのであれば商用とみなされる可能性が高い。
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アメリカで同様のサービスが提供されている場合、就労とみなされる可能性がある。例えば日本からのツアーであってもハワイでインストラクターとしてヨガの指導をすれば、米国のインストラクターでもできる仕事をしているとして就労とみなされる可能性がある。
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エンジニアが現場で自ら装置を操作するだけでなく、口頭でもアドバイスを行えば、現地のエンジニアがすべき作業を代わりにしているとして、就労とみなされる可能性が高い。技術系でなくても”実務”にあたることをすると就労とみなされる可能性がある。
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製造装置で製品を作っても、試作品であれば商用とみなされる可能性がある。
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コンサルティング業務の場合、アメリカでは情報収集や分析などの部分的な作業だけで、主な作業が日本で行われるのであれば、商用とみなされる可能性が高い。一方、アメリカのオフィスが受注したプロジェクトに、メンバーとして日本オフィスから派遣されるような場合は、就労とみなされる可能性が高い。
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どこまでが商用で、どこからが就労かは、移民法弁護士の間でも意見が分かれます。実際はトラブルとなり、移民局が判断を下さなければはっきりしません。入国審査官でも意見が分かれます。その一方、コンプライアンスが重視される中で、ばれなければいいと言うものではありません。重要なのはどこまでを商用とするか、ガイドラインを明確にすることです。就労を疑われた場合でも、そのガイドラインに基づく判断であると、少なくとも説明ができます。そしてそのガイドラインを商用で渡米する社員にきちんと理解していただくことが重要です。
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アメリカでの業務に対してアメリカを源泉(アメリカの現地法人や顧客など)とする給与・報酬を受ければ商用とは認められません。ただし宿泊費などの経費は受け取ることはできます。
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9 FAM 402.2-5(F)(1) Incidental Expenses or Remuneration
A nonimmigrant in B-1 status may not receive a salary from a U.S. source for services rendered in connection with his or her activities in the United States. A U.S. source, however, may provide the alien with an expense allowance or reimbursement for expenses incidental to the temporary stay. Incidental expenses may not exceed the actual reasonable expenses the alien will incur in traveling to and from the event, together with living expenses the alien reasonably can be expected to incur for meals, lodging, laundry, and other basic services.
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日本の会社が販売した機械や設備について、アメリカでその設置、修理、オペレーション、またはそれらに関する研修を行うことが売買契約に含まれている場合、商用とみなされます。ただしアメリカを源泉とする報酬を受けることはできず、売買契約書に含まれない報酬も受けることはできません。また、建築や建設業務は該当しません。
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「修理技術者:技術者が、日本の企業で販売されている商工業用機械・機器の設置、サービス、または修理等を行う目的で渡米予定で、それらが購買契約に明記されている場合は商用としてのB-1ビザが該当します。ただし、技術者はこれらのサービス提供に必要な専門知識を有し、米国を源泉とする報酬を受けることはできません。また、企業はこれらのサービス提供に対し当初の購買契約書に定められたもの以外の支払いを受けることはできません。予定される活動がこれらの内容に正確に該当しない場合は一時就労(H-2)ビザが必要です。なお、B-1ビザは建築や建設業務には該当しませんので、契約書にそうしたサービスが含まれていてもH-2ビザが必要です。B-1ビザは上述の商工業設備および機器の設営、運営、修理のために米国人の研修を行う目的で渡米する技術者にも該当します。このような場合も報酬は日本の企業から支払われ、研修が行われることが売買契約書に明記されていなければなりません。」
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